勝負服とはレースに出走する馬に騎乗する騎手が着用する服のことである。
中央競馬(JRA):
馬主ごとに服色を定める。
使用できる色は
白・黒・赤・青・黄・緑・桃・水色・紫・薄紫・鼠・海老・茶の13色で、胴と袖それぞれ地色と模様に1色ずつ、合計4色まで使用できる。

使用できる胴の柄
「無し(1色のみの使用)・一本輪・二本輪・三本輪・一文字・帯・山形一本輪・山形二本輪・山形三本輪・山形一文字・山形帯・菱山形・襷・十字襷・縦縞・格子・元禄・ダイヤモンド・うろこ・井桁絣・玉霰・星散・蛇目散・銭形散」の中から1種類を使用できる。
帯と山形帯については最近ではほとんど使用されていない。

使用できる袖の柄
袖の部分は胴とは別の色を使用でき、柄も別に定められている。左右で同じ柄を使用する。
「無し(1色のみの使用)・一本輪・二本輪・三本輪・山形一本輪・山形二本輪・山形三本輪・菱山形・縦縞・格子・元禄・ダイヤモンド・うろこ・井桁絣・玉霰・星散・蛇目散・銭形散」の中から1種類を選択する。
特殊な柄
鋸歯形(胸から肩にかけて使われる柄であり、胴の柄はこれ以上使えず、袖の柄は「一本輪・二本輪・三本輪」しか使用できない)

服色変更の申請があれば何度でも変更が可能である。過去には変更した翌週に元に戻した事例(前田幸治やノースヒルズ)もある。
馬主登録が抹消されると勝負服の登録についても抹消される。抹消された勝負服は抹消日から60日間は使用できないが、抹消馬主の相続人であれば同じ勝負服を使用することができる。

特殊な勝負服

勝負服が未登録のまま馬が出走した場合
JRAより勝負服が貸し出される(1競走1頭につき使用料500円を徴収)。
貸し出される勝負服は、胴の色と袖の色が白で、枠番の色(1枠は水色)の斜縞が入る。同枠の2頭がともに未登録の場合は馬番の大きい方は白ではなく1・2枠が薄紫、3-8枠が黒となる。
勝負服を用意できなかった場合
JRAより勝負服が貸し出される(1競走1頭につき使用料500円を徴収)。貸し出される勝負服は、胴の色と袖の色が白で、枠番の色(1枠は水色)の斜縞が入る。同枠の2頭がともに未登録の場合は馬番の大きい方は白ではなく薄紫となる。
競走馬の調教師に対して過怠金(1万円)が課せられる。競馬開催中に発覚した場合は、文字放送において告知を行う。

貸し服で騎乗する地方騎手
中央競馬馬主登録を受けていない馬主の競走馬が出走した場合
JRAより勝負服が貸し出される(1競走1頭につき使用料500円を徴収)。貸し出される勝負服は「交流服」と呼ばれる専用の貸服で、胴の色が白で枠番の色(1枠は水色)の四ツ割が入り、袖の色が白で枠番の色(1枠は水色)の一本輪が入る。同枠の2頭がともに未登録の場合は馬番の大きい方は白ではなく薄紫となる。
枠番の色が導入される以前の貸し出し用勝負服は、黒胴・白袖に桃色1本輪の服色で、胴の右胸と背中に白文字で馬番が縫い付けられたものを使用していた。
国際競走(ジャパンカップなど)に海外馬が出走した場合
日本では登録が認められていない装飾の勝負服を着用して出走することができるが、帽子は枠の色の物を着用する。
帽子
1957年(昭和32年)までは騎手の帽子は勝負服の色に合わせた色を使用していた。概ね、勝負服に使われている色と同じ色の単色帽であるが、勝負服のデザインによっては単色ではなく勝負服のデザインに合わせた帽を使用する例もある。1957年(昭和32年)からは勝負服の色とは無関係に枠番ごとに定められた色の帽子をかぶることになっている。

染め分け帽
同じ枠に同馬主の馬が入った場合は、2頭の帽子の色も勝負服も同じになる。それでは見分けがつきにくいため、馬番の大きい馬に騎乗する騎手が「染め分け帽」と呼ばれる2色4つ分けの帽子を着用する。
また17頭か18頭立てのレースでは7枠および8枠に3頭入る枠が生じるが、3頭全て同じ馬主の馬である場合は、その枠の2頭目の騎手が4つ分けの染め分け帽を、3頭目の騎手が8つ分けの染め分け帽を着用する。ただ8つ分け染め分け帽は滅多に見られず、2013年8月10日の第2回新潟競馬5日目第11競走で8枠制になってから初めて使用されている(1991年以前は1枠から6枠までも8つ分けの染め分け帽が用意されていたが、1991年秋以降は馬番号普通二連勝複式勝馬投票法(馬番連勝複式)の導入により、最大出走頭数が18頭となったこと、及び単枠指定制度がなくなった関係で事実上廃止された)。
非常に多数の競走馬を所有する馬主に染め分け帽は多く見られる。

<地方競馬の勝負服>
地方競馬(NAR)では基本的に騎手ごとに勝負服が定められている。これは騎手服と呼ばれるシステムで、所属競馬場やあるいは同じ地区の競馬場の他の騎手と同じものにならないように、騎手が色や柄を登録することになる。
デザインが騎手ごとのものであるため、基本的には騎手本人が色柄を選択する。
他地区の有力騎手や中央競馬や海外の有力馬にあやかってその勝負服と同じデザインを登録している騎手や、一門で共通の柄を用いていたり、師匠である調教師が騎手時代に用いていた勝負服のデザインを弟子である騎手が受け継ぐなどということも見られる。
その他、中央競馬と地方競馬の勝負服で異なる点として、中央競馬では使えない色や柄が地方競馬では使えることもある。例えば、橙色は中央競馬で勝負服の色には使用できない(一部を除く)が、地方競馬では使用できる。

近年では地方競馬であっても馬主勝負服を認める競馬場が増えている。

中央競馬の騎手が地方競馬場に指定交流戦のために遠征し、その遠征馬の他に一般戦などで地元所属の馬に騎乗する場合については、基本的には枠順に合わせた色の勝負服がJRA所属騎手用とし用意される。ただし、兵庫県競馬(園田、姫路)では、元兵庫所属のJRA騎手である岩田康誠が地元所属馬に騎乗する場合、馬券を購入する地元の競馬ファンの混乱防止の観点から、地方競馬時代に使用していた服色の勝負服を着用している。
また、岩田以外の元地方所属だったJRA騎手が騎乗する場合、地方所属時代の勝負服をイメージできる色の貸し服を着用する(小牧太:緑・内田博幸:青など)。武豊はこれらに該当しないが、ゴールデンジョッキーカップに招待されることが多いということもあり、ピンク色の勝負服を着用する。同様に南関東地方競馬でも、2008年3月より騎手の取り扱いについて変更を行い、中央競馬に移籍した元南関東地区所属の騎手について、中央所属馬に騎乗する時以外は地方競馬当時の服色での騎乗が可能となった。これは大井競馬場のトップジョッキーであった内田が中央競馬に移籍したことに伴って行われた変更である。また川崎競馬場では、2011年から「一定の基準」を満たしたJRA所属騎手については、各自がデザインした勝負服の着用を認めることとした。

指定交流戦などで中央競馬の所属馬に地方競馬所属の騎手が騎乗する場合は、JRA騎手同様、馬主が中央競馬で使用している勝負服を着用する。
地方競馬に短期免許で外国人騎手や外国に活動の本拠地を持つ日本人騎手が騎乗する場合についても、基本的には専用の服飾が用意される。また、かつて大井競馬場がアメリカのサンタアニタ競馬場との交流の一環として騎手招待レースを実施していたころには、星条旗などをモチーフとした本来ならば日本の規定にない特殊なデザインの勝負服を用意し、その服をその当日の招待騎手専用のものとして使用していた。
なお、日本競馬の通算最多勝記録の保持者である佐々木竹見元騎手の使用していた「赤・黄山形一文字」の服色は、佐々木の功績を記念して永久保存に指定されており、新たに服色として使用することができない(ただし、現在使用している騎手はそのまま使用できる)。
愛知県競馬(名古屋、公営中京)や兵庫県競馬(園田、姫路)では、かつては騎手勝負服ではなく、競輪やオートレースなどのような枠順ごとの勝負服が用いられていた。